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実例から学ぶジャズアレンジの作り方:Pretenderをジャズ風に

投稿日:2020年2月3日 更新日:

こんにちは、DolphinEです。

今回は、2020年1月28日に公開した「Pretender」のジャズアレンジを題材に、ジャズアレンジの作り方について解説していこうと思います。

なお、今回の記事では以下の記事の内容を踏まえ、そこで出てきたテクニックを使って具体的にどうアレンジしていったのかについての解説がメインとなります。

ですので、以下の記事を読んでジャズアレンジの簡単なやり方をおさえてから、今回の記事を読んだほうが理解が深まるかと思います。

楽器ごとにジャズアレンジのコツを掴む!

それでは、まずは今回解説していく「Pretender」のジャズアレンジを聴いてみてください。

いかがでしょうか。

今回はこのアレンジについて、各楽器・パート別に解説していきます。
1つ1つの楽器について、アレンジする際のコツを掴んでいただけたら嬉しいです。

このアレンジの楽器構成は以下のようになっています。

  1. ボーカル(メロディ)
  2. ドラム
  3. ウッドベース(コントラバス)
  4. ピアノ&オルガン
  5. テナーサックス

ジャズアレンジの作り方のコツ①メロディのリズムを変えてみる

まずはボーカル、つまりメロディを担当するパートについてですね。

DolphinE
DolphinE
今回のアレンジではボーカルがメロディを担当していますが、ほかの楽器がメロディを演奏する場合でも同じようなアレンジは有効です。


上述した以前の記事でも書いた通り、ジャズでは基本的にすべての楽器がスウィングしており、それはボーカルとて例外ではないのですが、今回はさらに踏み込んだアレンジをしています。

それは、原曲のリズムに対して、要所要所で16分音符1つ分リズムを前に出すというアレンジです。

POINT

いわゆる「リズムを食う」と呼ばれるもので、正式にはシンコペーションといいます。

曲中での具体的な箇所でいうと、1番サビの「運命の人は僕じゃない~でも離れ難いのさ」のあたりのリズムが原曲と大きく違っていることがわかるかと思います。

ジャズではこういったシンコペーションが多用され、それによってスウィングのノリがより強調されてジャズっぽさを増幅させていると考えられます。


とはいえ、実際にアレンジする際にはあまり理屈では考えず、自分で歌ってみて「ジャズっぽいノリが出てるな~」と思えるリズムに変えていっただけです。

ですので、この辺のアレンジについてはあまり理詰めで考えるのではなく、いろんなジャズ系の曲(ジャズ風の歌ものポップスやジャズアレンジでOK)を聞いて、そのノリを掴んでから感覚的にやったほうが結果的によくなるかな~って気がします。


とにかく、今回の解説では、メロディのリズムを変えることによって、よりジャズっぽい雰囲気を出すこともできるよっていうことが分かれば大丈夫です。

ジャズアレンジの作り方のコツ②応用的なジャズドラムの作り方

続いてはドラムのアレンジですが、基本は以前の記事の内容を参照していただくとして、今回は応用的な以下の2点について解説します。

  • ライド刻みとハイハット刻みの使い分け
  • よりジャジーなスネア&バスドラのパターンの組み方

それでは、順番にみていきましょう。

ライド刻みとハイハット刻みの使い分け

以前の記事でも書いた通り、ジャズドラムでは基本的なビートを刻むのはライドシンバルですが、同じ刻みをハイハットでやることもできます。

今回のアレンジでも、この2つの両方を使っているので、それを参考にライド刻みとハイハット刻みの使い分けについて解説します。

結論から言うと、盛り上げたいときはライド刻みで、少し抑え目でいきたいときはハイハット刻みというのが定石になります。

今回のアレンジでの具体的な箇所としては、1番Bメロや2番A・Bメロではハイハット刻み、各サビやイントロ・楽器ソロの部分はライド刻みとなっています。

POINT

もし迷ったときは、一度両方のパターンを作ってみたうえで、ほかの楽器と合わせて判断するのが良いでしょう。

また、今回のアレンジの2番Aメロでは、以前の記事で紹介したハイハットのオープンとクローズドを組み合わせたものではなく、常にクローズド・ハイハットで刻んでいます。

DolphinE
DolphinE
これは、オープンとクローズドを組み合わせた刻みだとうるさすぎ、かといって刻み無しは流れ的に違うなと思ったので、このようにしました。

よりジャジーなスネア&バスドラのパターンの組み方

次に、スネア&バスドラのパターンの組み方ですが、やはりまずはポップス的な考え方が基本になります。

そこからよりジャジーな雰囲気にしていくには、ゴーストノートを積極的に入れるとよいでしょう。

今回のアレンジでも、特に裏拍を中心にかすかに聞こえる程度の音量のゴーストノートをかなりたくさん入れています。

POINT

ゴーストノートの打ち込み方の基本は、ベロシティをかなり小さくすることです。

あとは、スネアの音色の種類がいくつかある音源であれば、アタック感の弱めな音色を選ぶと良いでしょうね。

バスドラについても同様に、裏拍等にベロシティを低めで打ってやるとよりそれっぽくなるでしょう。

ジャズアレンジの作り方のコツ③ウォーキングベースと普通のベースライン

続いてベースのアレンジですが、これもやはり以前の記事にあるウォーキングベースが基本になります。

ただ、今回のアレンジにおいては、常にウォーキングベースというわけではなく、セクションごとに普通のベースラインとウォーキングベースを使い分けています。

DolphinE
DolphinE
具体的に言うと、1番Aメロ後半では全音符でルートを、1・2番Bメロはコードトーンのみを使ったパターン、2番Aメロは原曲風のリズム、といった感じです。


これは、ウォーキングベースのリズムはひたすら8分音符が並んでいくことになるので、ずっとそれだけだと単調になってしまうと感じたからです。

なので、A・Bメロではウォーキングベースではなく、動きの少ない全音符だったり、休符を挟んだリズムパターンだったりといった普通のベースラインを使いました。

ジャズアレンジの作り方のコツ④コード楽器のアレンジ

次はコード楽器、今回はピアノとオルガンになります。

この2つについても、それぞれ分けてみていきましょう。

ピアノはパラディドル奏法+トップノートをメロディアスに

以前の記事で紹介した簡単なアレンジでは、ピアノは完全にパターンを作ってしまい、右手と左手も関係なく一定のリズムを弾いていましたが、今回は右手と左手でバラバラに弾くパラディドル奏法という形を中心にアレンジしました。

パラディドル奏法については、DTMerにはおなじみのsleepfreaksさんでも解説されており、これがかなりわかりやすいので参考にするとよいでしょう。

DolphinE
DolphinE
こちらの解説ではファンキーな音色ですが、アコースティックピアノでもう少しテンポを落とせばジャズにもかなりマッチするかと思います。

左手は低音のルートを弾き、右手で高音のコードを弾くといった感じで、さらに右手のコードは基本的に3rdと7thを中心に弾いています。

POINT

このルートと5thを省き、3rdと7thだけを弾くというボイシングは、実際のジャズピアノにより近いボイシングです。

本当はさらに、テンションを乗っけたりテンションを乗せたうえで転回したり…とかなり奥が深いのですが、今回のようなポップスのジャズアレンジであればまずはこのくらいできれば十分でしょう。

テンションについては理詰めで考えるのは難しいため、僕の場合はトップノートでメロディを作ることが基本になります。

そのようにすると、自然とテンションを含んだコードが作れる場合も多いし、何よりピアノパート自体が聴きごたえのあるアレンジができておすすめです。

ちなみに、そういったアレンジをしていると、先ほど省略するといったルートや5thをトップノートにしたくなる時がありますが、そういう時はメロディを優先してルートや5thも弾くようにしています。

DolphinE
DolphinE
ピアノのアレンジについては奥が深く、一朝一夕ではいかないので、僕自身もまだまだ勉強していかなければと思っています。

オルガンの役割は音域&音像を埋めること

もう一つのコード楽器、オルガンのアレンジについてはすごくシンプルで、コードをただ全音符で鳴らしているだけです。

ただ、このコードの音域が重要で、オルガンはピアノのオクターブ上で演奏しています。

これは、アレンジ全体を見たとき、ベースが低音・ピアノが中低音であり、後述するテナーサックスもオクターブ上を重ねて少し高音感を出してはいますがやはり基本は中低音で、高音域が非常に足りていないです。

これを解消するために、オルガンに高音域でコードを鳴らしてもらっているというわけです。

またもう一つ、今回のアレンジは楽器数が結構少なめなせいか、ポップスとしてはやや広がりに欠けるなといった印象があったので、オルガンはパンを思いっきりサイドに広げました。

DolphinE
DolphinE
この音域と音像を埋めるという2つの役割をオルガンに任せることによって、よりポップス的で聴きごたえのあるアレンジになったと思います。

ジャズアレンジの作り方のコツ⑤ホーンセクションとしてのアレンジ

最後に、今回のアレンジの目玉であるテナーサックスのアレンジについて解説します。

今回のアレンジは基本的には打ち込みで作っていますが、テナーサックスだけは自分で演奏して録音したものになります。

生演奏の楽器が入ることによって、打ち込みではなかなか出せないリアリティのあるサウンドを作ることができます。

とはいえ、サックスを生演奏で入れることができる人は限られるでしょうから、今回はサックスを含めたホーンセクションを打ち込みで作る際にも使えるポイントを書いていきます。

そのポイントとは、以下の2つです。

  • 複数の楽器やパートを重ねてアレンジする
  • 楽器ごとの得意な音域を考えて編成を決める

複数の楽器やパートを重ねてアレンジする

まず1つ目のポイントについてですが、ジャズの場合、管楽器の編成はかなり多種多様のため、一概にどうすればいいというのはありませんが、今回のようなあくまで歌ものポップスとしてのジャズであれば、管楽器は一人ではなく複数の奏者がいる想定でアレンジしたほうが良いかと思います。

POINT

今回のアレンジでも、入っている管楽器の種類自体はテナーサックスの1つのみですが、メインのメロディに対してオクターブ上やハモリを重ねて複数のパートを作っています。

単独の管楽器奏者をイメージしてアレンジしようとすると、アレンジや打ち込み技術の良し悪しが如実に出てしまうため非常に難しいかと思います。

そこで、複数人の奏者を想定してホーンセクションとして扱えば、管楽器が1人だけの時ほど繊細なアレンジや打ち込みは必要なく、さらに音にも厚みが出てよりポップな感じにできると思います。

また、この「複数の楽器を重ねてアレンジする」というのは、これから説明するもう一つのポイントとも関連しています。

楽器ごとの得意な音域を考えて編成を決める

打ち込みでホーンセクションを作る場合は、全体のアレンジの音域と各楽器の得意な音域を合わせて編成を考えるのが良いです。

どういうことかというと、今回のアレンジでいえば、ピアノとベースができた段階で低音~中音域がだいたい埋まっており、ボーカルが入ることも考えると、管楽器の音域は高めの方が良いです。

そこで本来であれば、高音域が得意なアルトサックスやトランペットを使うのがベストなんですが、今回のアレンジで使った管楽器は中低音が得意なテナーサックスです。

テナーサックスでも高音を出すことは不可能ではないですし、実際今回は少しでも高音感を出すためにオクターブ上を重ねたりしていますが、やはりそれぞれの楽器には得意な音域があり、それを活かしたアレンジをするほうが結果は良いです。

ではなぜ今回アルトサックスやトランペットではなく、テナーサックスを使ったのかについてですが、これは僕がテナーサックスしか吹けないという理由で、つまりは演奏者の確保ができなかったということになります。

DolphinE
DolphinE
こういった理由から、何とかテナーサックス1種類でも良く聞こえるようにアレンジしようと頑張りましたが、やはりいろいろと大変で特にミックスダウンの時にボーカルとぶつかりやすいという問題がありました。


もし打ち込みで作る場合であれば、演奏者の確保という問題はありませんので、アレンジ全体を見て必要な音域を考え、その音域での演奏が得意な楽器を中心に編成を組むというのが大事
だと思います。

具体的な曲から学ぶのが大事

いかがでしたでしょうか。

今回は実際に自分が作ったジャズアレンジを振り返りながら、前回の記事の応用的な部分だったり、比較的理解や実践がしやすそうなポイントをまとめてみました。

これはジャズアレンジに限らずですが、具体的な曲を聴いてそれがどんな風にできているのか考えるのはすごく勉強になると思うので、自分の好きな曲やアレンジが見つかったらぜひそれを注意深く聴いて分析してみてください。

今回の記事が、そういった分析を始める際の取っ掛かりや参考になったら嬉しいです。

読んでいただきありがとうございました!

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